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2024-06

05

緑園都市 ティラミス作り

Nさんはスイーツ作りに凝っています。
毎週のようにクリームチーズを買ってきて、何か作れないかとiPadを見つめています。
そんなNさんの代表作が、オレオチーズケーキです。
ザクザクのオレオとこっくりとしたチーズのハーモニー。イケる味わいです。
これを作業所で出してやるというのが彼の野望です。

 

Nさんを更にスイーツ沼に引きずりこむべく、職員Aの作戦が始動しました。
しかし不安材料が1つ。Aには前科があった。
かつて《いちごとうふ》というスイーツを作ろうとしたとき、いちご味のゲ○を誕生させた過去がある。

この男は目分量ガチ勢なので、スイーツ作りとの相性が最悪なのだ。
これはマジの黒歴史で、ことあるごとにこれを知る人間に擦られイジられている。

なんてかわいそうなのかしら。

 

今回こそはちゃんと計量して汚名を返上しなくてはいけない。
Nさんスイーツ道を敷く傍らで、静かに決心したのでした。

 

そんなこんな今回選んだのは《ティラミス》です。
コーヒーにとり憑かれているこのホーム、

並びにクリームチーズを愛しクリームチーズに愛されたNさんにぴったりです。

 

まずは卵を卵黄と卵白に分ける作業です。
専用の器具を駆使して、Nさんが行います。
いつの間に買ったんだスイーツ男子!

 

分けられた卵白は、HTさんによってメレンゲにされていきます。
HTさんは作業所で耕運機を使うのが楽しみの1つ。
「土も卵も同じだぜ」と言わんばかりに泡だて器をぶん回しています。

 

今まで不在にしていることが多かったHYさんが、今回は本格参戦。
コーヒーに一家言ある彼には、おあつらえ向きの仕事を任せます。
ビスケットに濃~く淹れたコーヒーをかけて、染み込ませる作業です。

自前のスプーンを駆使して、ブラックコーヒーを運んでいきます。

 

卵黄、チーズ、メレンゲを混ぜ合わせクリームが完成です。
あとは、コーヒー染み染みビスケットとクリームを交互に重ねていきます。
最後にココアをかけ、(因縁の)いちごを乗せます。
後は冷やして完成!

 

シックな見た目に華を添えるいちご。
コーヒーの染みたビスケットとクリームが、甘みのなかに大人の苦みをにじませます。
利用者も気にいったようでした。Aさんが皿まで舐めていたという証言もあります。

 

 

「パーフェクト…」
悦に入っている職員Aの目に、あるものが飛び込んできました。
余るはずのないクリームチーズが半分、包装に包まれて鎮座ましましているではありませんか。
隣りでNさんが「ごめん入れ忘れた」と笑っています。
クリームがなんかシャバシャバと思ったら、そういうこと。

 

凡ミスがあったものの味は美味いし、カロリーハーフ。
Nさんのスイーツ道、Aの計量道はまだ始まったばかりだ!

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