2024-06
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しょうがの味は熱い
自家製の多い喫茶店、さかもとてらすの看板メニューのひとつに手作りのジンジャエールがあります。
今ではそれなりにメニューが増えてきましたが、開店したときのメニューはコーヒーと紅茶のあたたかいものと冷たいもの、それだけでした。
「あとは何がいいだろう。ジュースもあるけれど、もっと自分たちで出来るものがやってみたいね。」
「うーん、ジンジャエールって作れそうじゃない?」
「よし、調べてみよう。」
言ってみるのは簡単ですが実際は試行錯誤の連続でした。
しょうがと言うとすりおろしたチューブしか思い浮かばなかったので、まずは実物を見るところからでした。なんでも試してみるものですね。
「包丁なんて持ったことがありません。」
「家では刃物を使っちゃダメって言われています。」
「大丈夫、横で見ています。何かあったら止めますので。」
誰だってはじめてやってみるときがあります。それがちょっと遅いか早いかだけの違いでした。サク…サク…としょうがの繊維がリズム良く切れていく音をあのとき誰が想像できたことでしょうか。
しょうがを薄切りにしたり千切りにしたり、ときにはすりおろしたり。
砂糖は何がいいだろう。白砂糖かグラニュー糖か、てんさい糖、三温糖、どれが甘味が強くてどれがマイルドな甘味で…加えるスパイスもあっちを増やしてはこっちを減らして…そうするとこんな味になって…と今になって振り返るとまるでみんなで理科の実験をしているような日々でした。その頃の日誌を振り返るとまるで実験ノートのようです。
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「あの常連さん、最近見なくなちゃったね。」
「それはジンジャエールが無いからだよ。」
冬になってしょうがの旬が過ぎてからは少し下火になった時期も実はありました。
「やっぱりまたやろう」
実はこんなメニューからの脱落疑惑もあったのですが、最近は準レギュラーのメニューになりました。
春先から夏の終わりにかけては新しょうがを使っています。
シナモン、ナツメグ、カルダモン、クローブの他、ブラックペッパーやとうがらしと一緒に煮詰めて辛みを出すこともあります。少し洒落たお店で飲む辛口のジンジャエールってこうなっていたんですね。
すっきりしたいときは炭酸水で飲んだり、お湯割りで飲んでも身体が暖まります。エアコンで身体が冷えるこの時期は、冷たくて鋭角な飲み口と身体の中から暖まる感覚で、熱いお風呂と冷たいシャワーでシャキッとしたような気分になります。
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「なんだかいい匂いがする」
他の部屋から通りかかった仲間から思わず本音が溢れました。
何種類ものスパイスが煮詰まっていく香りは、どこかのカフェでただよっていた香りと同じものでした。カフェにある独特の空気はこれだったのかと妙に納得したものです。
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上着を一枚脱いでTシャツで出歩きたいこの季節、毎日ではないですがミントとライムをふんだんに使ったジンジャーモヒートが出ているときがあります(ノンアルコールです)。
今年の夏も暑くなりそうですね。当たり前のように30℃を越えてアイスクリームみたいにからだが溶けてしまいそうな日、ちょっと涼んで一休みに。飲むときはひんやりと、飲んでからは何かと体の中から熱いしょうがのドリンクを用意してお待ちしております。
外の暑さと後味の熱さ、飲み口の冷たさとエアコンの効いた室内の涼しさでととのうのも面白いですね。
※はちみつを使用していますので、お子様が飲む際には充分に注意してください。
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