2024-08
29
午後のレーコー
「レイコーを下さい」
突然のオーダーが入ったときは、ホール担当の仲間の顔にはたくさんのはてなマークが浮かんでいました。何の暗号だろうと困惑した表情でいるのも束の間
「このメニューにあるレイコーをお願いします」
はてなマークは取れません。レイコさんという方はこちらにはおりませんが…とモゴモゴ答えるのが精一杯でした。
さかもとてらすで働く仲間たちは平成生まれの30代から70代までの幅広い年代です。レイコーといきなり言われても昭和を暮らした人にしかわからないですよね。
アイスコーヒーをレイコーと呼ぶのがお洒落だった時代がかつてはありました。上星川を歩くと昔ながらの銭湯や金物屋に喫茶店、その時代からのお店が今でも現役で続いているのを見て驚くこともあります。
さて、自家製の多い喫茶店のさかもとてらすでは、アイスコーヒーも注文を受けてから一杯ずつ淹れています。豆はアイス用にブレンドしてもらったフォルテブレンドを今年は使っています。焙煎を重ねてキリッと角度のついた苦味は、少し口に含むと鼻を抜ける香りととに、コーヒーのアロマが広がっていきます。
このアイスコーヒーもお店に出せるようになるまでは色々と回り道がありました。
「アイスコーヒーなんて普通にコーヒーを淹れて冷やしておけばいいんでしょ。」
さて、出来上がったお味はというと
「うう、美味しくない、、、なんか渋い」
スタート地点はこんなものです。仕方ないと用意したのはパックで売っているリキッドタイプのアイスコーヒー。開店したてで鳴かず飛ばずのお店では、一杯出ても次はまだまだ先の機会。ああ、勿体無いと言いながら廃棄していくのを見ているのはとても心苦しいものでした。
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「アイスコーヒー用のブレンドができましたよ!」
さかもとてらすで使っている豆は、同じ仲間の夢21上星川で焙煎したものです。声がかかったタイミングたるや今思い出しても何かの導きのようでした。
豆なんてアイスでもホットでも同じでしょ、と思っていたところ、まずは実物を見てびっくり。
なんかツヤツヤしている!こんなに真っ黒なの?
アイスコーヒー用の豆は何度も焙煎を重ねて、力強い苦味を出せるように調整した特製のものでした。
ドリップしてからもまたびっくり。豆の膨らみがすごーい!
去年の夏、おかげさまでたくさんのオーダーを頂き、ここでコーヒーのドリップはみなさんかなり上達したと思います。
「この膨らみを崩さないようにそっとお湯を注いで、、、いい感じいい感じ。」
「昨日は美味しかったけれども、今日はちょっと薄いかもねえ。」
「うーん、淹れてみたけど麦茶みたいな色になっちゃったよ。」
安定した味になるまでは他のメニューと同様、こちらも試行錯誤の連続でした。
蒸らしのときのお湯の量、注ぐスピード、蒸らし時間、みんなが一定の品質で提供できるようになるまで、色々なパターンで練習に練習を重ねました。
美味しいと感じていただけたのなら、それは開店してから今までの一年半、仲間たちの練習の成果と思っていただけると幸いです。
不定期ですがウィンナーコーヒーも用意しています。今風に言うとカスタムでホイップ追加とでも言うのでしょうか。メニューで見かけた際にはこちらも是非に。
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